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「生徒募集が年々難しくなっている…」
「近隣に新しい塾ができて、差別化に悩んでいる…」
個人で学習塾を経営されている先生方の中には、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
少子化が進み、多様な教育サービスが登場する現代において、「良い指導をしていれば、いつか評判が広がるはず」という考えだけでは、残念ながら生き残りが難しい時代になりました。
しかし、厳しい環境だからこそ、光る個性を持つ塾は、生徒や保護者にとってかけがえのない存在になります。
この記事では、数ある競合の中から「あなたの塾だから通いたい」と選ばれるための、お客様の心に響く「キラーコピー」の根幹となる考え方と、その作成術について解説します。
※この記事は、2025年9月11日に開催したセミナーの内容を元に作成したものです。
早速ですが、結論からお伝えします。
価格競争や消耗戦から抜け出し、お客様から選ばれる塾になるための最も重要なポイントは、「他の塾と違う、独自の価値をはっきりと打ち出すこと」です。
マーケティングの世界では、これをUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)と呼びます。
難しく聞こえるかもしれませんが、要するに、
お客様(生徒・保護者)が求めている
競合の塾には提供できない(あるいは苦手)
自塾だけが提供できる「独自の強み」
のことです。
このUSPが明確であれば、「〇〇で困ったら、あの塾だよね」と、お客様の頭の中で第一想起される存在になることができます。
では、なぜこのUSPがそれほどまでに重要なのでしょうか。
その答えは、保護者の方が塾を探し始める際の「行動プロセス」に隠されています。
一般的に、お客様がサービスを利用するまでには、以下のようなステップを踏みます。
問題発生:「うちの子、テストで40点だった…このままじゃまずい!」とスイッチが入る。
情報収集:スマホで「〇〇市 塾 おすすめ」と検索したり、ママ友に評判を聞いたりする。
比較検討:見つけた複数の塾のウェブサイトを見比べ、違いを調べる 。
お試し・意思決定:体験授業や面談に参加し、最終判断を下す。
入塾
このプロセスで最も重要な関門が、ステップ2の「情報収集」の段階で、そもそも自塾が選択肢に入っているかどうかです。
いくら素晴らしい指導力やカリキュラムがあっても、この最初の段階で知ってもらえなければ、存在しないのと同じです。
「アットホームな雰囲気」「一人ひとりに寄り添う指導」といった言葉は、残念ながらどの塾のサイトにも書かれています。
しかし、もしあなたの塾に「理系専門のプロ講師による、わかるまで帰れない徹底個別指導」といった明確なUSPがあればどうでしょう?
理科や数学に強い苦手意識を持つお子さんの保護者の目に留まり、「この塾の話を聞いてみたい!」と思ってもらえる確率が格段に上がるはずです。
では、どうすれば自塾だけのUSPを見つけ、心に響く言葉(キラーコピー)にすることができるのでしょうか。そのための3つのステップをご紹介します。
まずは、自分たちの塾が市場の中でどのような立ち位置にいるのかを客観的に把握しましょう。
例えば、以下のような軸で考えてみます。
価格(高価格帯か、低価格帯か)
スタイル(伝統的・進学実績重視か、先進的・新しい教育手法か)
大手予備校、地域の集団塾、最新の映像授業を取り入れた個別指導塾など、競合は 様々です。
自分たちがどの領域で、どのような塾と比較されているのかを理解することが、差別化の第一歩となります。
(画像)学習塾のポジションマップ
次に、そして最も重要なのが「ターゲットを絞り込む」ことです。
「すべてのお子様のために」というメッセージは、聞こえは良いですが、結局誰の心にも深くは響きません。
「誰にでも合う服」が、結局誰にとっても「一番のお気に入り」にはならないのと同じです。
どんなことで悩んでいる生徒なのか?
自分の塾の何(価値)を届けるのか?
生徒にどのように変わってほしいのか?
例えば、「勉強が嫌いでしょうがない中学生に、ゲーム感覚のオリジナル教材で『わかる楽しさ』を届け、まずは平均点越えを達成させる」といったように、ターゲットを具体的に描くことで、伝えるべきメッセージが驚くほど明確になります。
ターゲットが決まったら、USPを具体的な言葉に落とし込みます。
ここで大切なのは、抽象的な表現を徹底的に排除することです。
業界にいる私たちにとっては当たり前の「感覚」も、保護者の方には伝わりません。
「丁寧な指導」
→「1回の授業で質問は最低5回。生徒が自分の言葉で説明できるまで徹底的に向き合います」
「講師の質が高い」
→「講師は全員、指導歴10年以上のベテラン。大手塾でクラス満席の実績があります」
「アットホームな塾」
→「授業後も30分間は自習室を開放。学校の悩み相談にのることも日常茶飯事です」
このように、「どう違うのか」「具体的に何をしてくれるのか」が伝わる言葉に変換することで、お客様は価値を正しく認識し、期待を抱いてくれます。
個人経営の学習塾が厳しい競争を勝ち抜くには、他塾にはない「独自の価値(USP)」を明確に打ち出すことが全ての始まりです。
そのUSPを見つける鍵として、本記事では「①ポジションの把握」「②ターゲット設定」「③言葉の具体化」という3つのステップをご紹介しました。
まずはこのステップに沿って、あなたの塾だけの価値を言葉にしてみましょう。
とはいえ、見つけ出した価値を、本当の意味で「お客様の心に響く言葉」にまで磨き上げるのには、もう一段階上のテクニックが必要です。
【後編】『問い合わせを倍増させるキラーコピー実践講座』では、そのための具体的な方法を徹底解説します。
お客様の「悩み」や「理想の未来」に寄り添い、「この塾しかない!」と思わせるキラーコピーの作り方を、具体的なフレームワークと共にご紹介します。
▼ 【後編】の記事はこちらから