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差別化で生徒を獲得!塾業界のターゲティング戦略とは?
他社と差別化を図るにはターゲティングが肝心
今、様々な業界で「ナンバーワン、オンリーワンでなければならない」と言われていますが、塾業界も例外ではありません。
業界でのナンバーワン、オンリーワンを目指し、特定の顧客層やニーズを持つ顧客に対して効果的なマーケティングやサービス展開を行うことをターゲティングと呼びます。
例えば、レストラン業界の場合、料理やサービスを絞り込むことが重要です。
イタリア料理、和食、中華料理など特定のジャンルに特化したり、ベジタリアンやグルテンフリー、ヘルシーといった特定のニーズに焦点を当てたりすることも効果的です。それでも競争が厳しい場合は、朝食専門のカフェや居酒屋、バーなど、時間帯や用途をターゲットに絞ることも検討します。
このように、自分のレストランがナンバーワン・オンリーワンになれるところまで絞り込みをかけていき、ターゲティングが成功すればその分野では上位20%に残れる可能性が高くなります。
塾の場合も同じです。すべての生徒に受け入れられる塾にしようとすると、表面的なこと・一般的なことしか訴求できず、結果として誰からも選ばれない塾になってしまう可能性が高いのです。
ターゲティングを行うことで、競合他塾との差別化を図り、自塾の特徴を生かした効果的な集客が可能となります。
では、実際にどのようにターゲティングを行えばよいのでしょうか?以下の具体例とともに説明していきます。
お悩み別ターゲティング事例
今回はよくある3つのお悩みから、ターゲティングの方法をご紹介いたします。
(悩み1)「学力レベルの低い子しか来ないのですが…」
(悩み2)「授業料を上げたいのですが、地域柄、授業料を高くすると生徒が集まりません…」
(悩み3)「中3生の比率が多く、春になると毎年不安でいっぱいです…」
(悩み1)学力の低い子しか来ないのですが…
学力が低い生徒ばかりが集まる塾の原因は、入塾基準の不明確さや、誤った広告戦略にあります。
教育意識の高い家庭ほど塾選びに慎重な傾向があります。そのため、「基礎から難関校進学まで」と広い対象に訴求していると、「本当に我が子にとって適切な塾なのか?」と疑問を持ってしまい、入塾から遠ざかります。
同様の理由で、「読まれないから」と漫画やイラストを多用し文字数を少なくしたチラシは、かえって教育意識の高い家庭からの反応を減らしてしまいます。
これらの要因が、学力レベルの低い子を引き寄せる結果となっているのです。
解決策としては、以下の3つがあります。
ターゲット層の明確化:自塾の強みや特色を活かし、特定の学力レベルや目標を持つ生徒をターゲットに絞り込むことが重要です。例えば、「中学生の数学に特化したカリキュラム」や「難関高校進学を目指す生徒向けのクラス」など、具体的なサービスを提供しましょう。
広告戦略の見直し:チラシや看板で、塾の理念や方針を具体的に伝えることが大切です。多くの文字で情報を提供し、教育意識の高い保護者に訴求できる広告を作成しましょう。
入塾基準の設定:入塾テストや面接などを実施し、塾に適した生徒を選び出すことが重要です。これにより、「どんな子でも受け入れます」という印象を払拭し、教育意識の高い家庭からの問い合わせが増えるでしょう。
(悩み2)授業料を上げたいのですが、地域柄、授業料を高くすると生徒が集まりません…
授業料を上げたいが地域柄で難しいと悩む原因は、安い授業料によって価格重視の顧客が集まることと、同地域の他塾との価格競争に縛られることにあります。
「安いから」という理由で選ばれる塾では、「料金は高いが、この先生に教えてもらいたい!」と言ってくれる理想の顧客は集まりにくいです。
人々は価格からサービスの質を推し量ります。そのため安い授業料を設定すると、「安さ」に最も価値を見出す顧客層が集まることになります。
解決策としては、以下の2つがあります。
価格設定の見直し:理想とする授業料を設定し、それに見合った個別最適な指導や進学実 績など高品質のサービスを提供することで、授業料よりもサービスの質を重視する顧客層を引き寄せましょう。
マーケティング戦略の見直し:広告やウェブサイト、口コミなどを通じて、塾の強みや特徴を明確に伝えましょう。例えば、ウェブサイトやチラシに具体的なサービス内容や進学実績を掲載し、顧客に伝わるように工夫するなどの方法があります。
(悩み3)中3生が多いので、春になると毎年不安でいっぱいです…
中3生の割合が多く毎年春の時期に生徒数が大きく変動する原因は、定員の未設定により入塾希望者を全て引き受けることにあります。
これにより、「いつでも入れる塾」という印象が生まれ、受験が近づいた中学3年生からの入塾が増えます。すると毎年卒塾生の比率が高くなり、経営が不安定になる可能性もあります。
解決策としては、以下の2つがあります。
募集定員の設定:各学年ごとに募集定員を設けたり、中学3年生の募集期間や人数を制限し(例:「中3生は満席のため募集していません」、「中2生は2学期以降の入塾をお断りします」)、低学年からの入塾を促すことで、生徒構成のバランスを保ちましょう。「空席があるうちに入らないと」という評判が広がり、低学年からの集客が増え、塾生構成がバランスよくなることが期待できます。
早期入塾のメリットを提示:塾の評判を向上させ、早期からの入塾が必要であることをアピールすることも有効です。例えば、中学1年生や2年生向けの特別プログラムやイベントを開催し、低学年の生徒にも魅力的な塾であることを伝えられるとよいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
上記に示した3つの悩みの原因は「ターゲットの設定」という原則を忘れてしまっていることにあります。逆の言い方をすれば「そうした顧客を無意識のうちに選んでしまっている」のです。
ぜひターゲティングによって、自塾の特長を生かした効果的な集客を行っていただければと思います。
自塾のターゲティングの方向性が固まったら、次はいよいよ各集客施策に落とし込んでいきます。